小学校の夏休みは、長いようで思った以上に短いものです。7月末は「まだまだあるやん」とか思いながら、だらだらと過ごし、お盆前には親が夏休みになったりして遊びが忙しくなり、お盆明けになってようやく火が付くのは、自分の夏休みの思い出です。(前半は前置きなので、読み飛ばしてここからの塩づくりをどうぞ…。)
計画を立てるのが苦手な長男なので、私と同じ轍は踏ませないようにと、夏休み入ってすぐ「夏休みの課題」計画通りに進めようカレンダーを一緒に作りました。
コロナ渦の状況で、家で過ごすことがメインになり時間はあるように感じるものの、ゲームの時間、テレビの時間、海水浴、バーベキューとリストアップすると、途端に残りの時間が少なく感じます。「いや、まず勉強の時間から予定組めよ」とのアドバイスで考え直してくれたようですが…
夏休みの課題と言えば、工作とか自由研究とか最後に残しがちの課題がありますが、自由研究と言えばたいてい長い期間で仕上げるもので、私の時代の定番だった「押し花図鑑」も時間が結構かかります。
そうだ!塩を作ろう!海水からね!
夏休みの課題が決まらないまま、まず夏休み中に読書感想文を書かないといけないのと、本を5冊以上読むというミッションがあったので、近くの図書館へ行くことに。「自分で興味ある本を何冊か集めたらどうや?」と放置していたら、時間もかからずに数冊ピックアップして、読書感想文用に「読書感想文に最適な本コーナー」で良さそうな本を借りて帰宅。
その借りた本の中に、「~のできるまで」という本があって、缶詰のできるまでやらカレールーのできるまでやら様々な図解の解説本がありました。その本の中に、「塩」ができるまでの工程が、現代のイオン交換膜法から、昔の塩田を使った濃縮、加熱式まで書かれていたのがあり、「これどう?」「面白そうや」ってことで、塩づくりに決定したのが、「海水から塩づくり」のきっかけです。
なら、海水浴のついでに海水汲んできたら一石二鳥だということで、週末の予定が「海水浴」に変わり、楽しみながら進める夏休みの自由研究という大義を得ることに成功しました。
少し海水について調べてみました
ぼんやりと海水から塩が採れるのは知っていましたが、実際に夏休みの課題にするなら海水について調べて自由研究の幅を広げた方が良いということで、豆知識レベルの調査をしました。
地球の歴史と海の誕生 海の誕生から現在までの成分の変化 現在の海水の成分の詳細 海水の利用(産業)
これらをコラムみたいにまとめて、実際に塩を作った写真と併せてまとめると「自由研究」っぽくなってやっつけ仕事感が薄れます。上記の調べた詳細は、参照したサイトや記事の紹介が必要になるので割愛しますが、ほぼネットの情報でまとめました。
ちなみに海洋深層水は、深い海(深層)だと海水はしょっぱくない(真水)のではなくて深層から採取した塩辛い海水を「脱塩」して、豊富なミネラルを残した水。といったことも記載しました。
海水の採取
おおざっぱに予定して行動しましたが、採取当日は遠方に台風があり波が強くて、昼からは雨の予報。海水の採取という課題があるので、やめるわけにもいかず決行しました。波が高いなりに楽しんで満足したところで、約2リットルの海水をできる限り沖の方で採取しました。
自宅へ帰り、海水の成分などをインターネットで学習から始めます。子供もインターネットで調べることができるようになっていて、学校教育も時代とともに変わっていることに感心しました。
調査したところ海水の成分は、3.5%が塩分で他が水分、3.5%のうち、8割が塩化ナトリウム、1割が塩化マグネシウム、残りが硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどの成分だそうです。
やはり先人は沢山いてくれて、海水から塩を作る場合は、約10%くらいの量になったら、すでに析出している石こう成分をろ過して、残りを煮詰めると良いと学習しました。ここまでの予備知識で、もう出来たような気になる悪いクセですが、必要なものを集めて作業に掛かります。
ろ過と濃縮作業
準備物は、窯と濾過用のキッチンペーパー、フライ返し(混ぜる用)くらいで、特にありません。採取した海水は冷蔵庫で1日寝かせて、浮遊物を沈殿させておきました。
塩つくりの窯は土鍋を利用することにしましたが、2リットルの海水の水位と、煮詰めて1/10になる水位をあらかじめ知っておくために、2リットルの水道水の水位と1/10である200ccの水位を使う鍋で確認、それぞれの水位が解るように割りばしに印をつけた水位計を作っておきます。
ここからが塩づくりのスタートです。ざるにキッチンペーパーを2枚敷いて海水をろ過します。
ろ過後は強く沸騰しない(くつくつするくらい)程度の火加減で、煮詰めて濃縮します。
沸騰していなくても高温!!ヤケドに注意!
おおよそ1/10になる水位を、作成しておいた割りばし水位計で確認しながら煮詰めていくと、水面に白い浮遊物ができ始めて、混ぜるときになべ底に引っ掛かりを感じ、ザラザラとした感触になったころに、2回目のろ過を行います。
2回目のろ過 石こう成分の除去
もう一度、キッチンペーパーを2枚重ねたものでろ過をします。熱いので注意!
熱いので、お玉ですくいながらろ過します。全てろ過したら、土鍋を洗いました。なべ底のザラザラは水で洗うと無くなったので、石こう分が浮遊分だけでなく、なべ底にも析出していたと思われます。この石こう成分は、エグ味として感じるそうなのでろ過しましたが、それも含めて自然塩を作る場合は、この工程でろ過しなくても良いそうです。
さらに煮詰めて塩が出来てきました
洗った土鍋の水分をなくし、濃縮ろ過した海水を鍋に戻します。また沸騰しないくらいでゆっくり濃縮していきます。すぐに白いもろもろが見え始めるので、火加減を弱めてさらに煮詰めます。
ここからは急速に煮詰まるようになります。弱火でゆっくり加熱しましょう。
海水を煮詰めて塩を作ると最後ににがりができ、豆腐の凝固剤として使われているのは知識で何となく知っていました。しかし、鍋で煮詰めている残りの液体が、まだまだ塩を析出する濃い塩水なのか、濃い塩水&ほぼにがり(塩化マグネシウム)なのか判断ができませんでした。
仕方なく、ある程度塩が出来た段階で、残りの水分はキッチンペーパーで吸い取り除去しました。
有名な伯方の塩は、「にがりを残した」と書かれていますが、まろやかで̚カドがない塩味は適度なにがり成分が含まれているのも一つの理由かもしれません。(湿度に注意とも書かれていました。)
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この残りの水分を舐めてみましたが、確かに苦みのある濃い塩水だったので、苦みの少ない塩にしたいなら、早めに除去する方が良さそうです。
弱火にかけ、水分を飛ばすと真っ白な塩が出来上がりました。
自然塩の完成
焦がさないように弱火で水分を飛ばしましたが、サラサラな塩にはならず、少し湿った感のある昔ながらの塩が完成しました。
重さをはかってみると53グラムの塩でした。2リットル海水の3%の計算なら60グラムですが、これくらい取れれば上出来ではないかと思います。
この出来た自然塩の味の確認のため、ゆで卵を用意(ゆで卵と言えば塩!)して、買ってきた塩と作った自然塩とを食べ比べてみましたが、どちらも紛れもない「塩!」でした。
5人に食べ比べてもらいましたが、「そんなに違わない」「舌触りがイイ」という感じで、「塩味の中に甘味がある」とか「味に深みがある」とかの感想はありませんでした。自分と長男の食レポは「うまい(卵が?)」「まろやか」という評価ですが、プラシーボと言わざるを得ません。
結果、2リットルの海水から、普通の塩が53グラム採れました!
と報告します。よく考えると、海水からスーパーで売っているのと同等の普通の塩が作り出せたので、大成功だったと思います。
長男はこの一部始終をレポートにまとめ、「夏休みの自由研究」として提出、題名の「夏休みの課題を楽しみながら進める!」も達成しました。
夏休みの自由研究ってなかなか良いテーマが見つけられませんが、海水浴のついでに採取できる海水から塩を作ってみると、身近な調味料である「食塩」の作り方が学べたり、スーパーで売っている塩の原材料が「海水」であることも発見できます。楽しみながら食を学べるので、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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