春になってプランターでグングン育つイチゴのために、3D-CADを使って高所栽培棚を設計・作成しました。
イチゴ自体の成長の記録は、下記の記事をご覧ください。
高所栽培棚を使うメリットは、
地面からの害虫(特にナメクジ)が侵入しずらくなる
日々の手入れ、水やり、収穫がラク
育てるだけの家庭菜園から、見えて楽しい観賞用植物になる
などが挙げられます。
一方デメリットは、
鳥に見つかりやすくなる
早く収穫したくなる(特に子供目線)
といったところです。デメリットは、ネットの設置と誠心誠意のお願いで何とかなりそうなので、メリットばかりです!
この記事は、買い物から完成まで半日程度で完成するイチゴの高所栽培棚の紹介です。
設計
イチゴの苗をプランターへ植え付けたのは晩秋でした。当時のイメージでは木工での製作をイメージしていましたが、最終的にはイレクターパイプを使っての製作になりました。
イレクターパイプ製に落ち着いた背景は、上の木製をベースに設計を進めていましたが、考慮すべきデメリットを克服するのに手間と時間がかかることでした。
木製の一番のデメリットは、「腐る・カビる」事です。屋外での時間が長くなるほど「ヴィンテージ」の良い雰囲気になりますが、それを保つのに、「腐食防止」「定期的な塗装」が必要になります。
毎日植物に水やりするので、木部に何も処理しないとすぐにカビが発生して、見た目がすぐに悪くなってしまいます。イチゴにとっても悪影響なうえに、食べるのが目的のイチゴの近くが汚れているのは、人間にとっても気分が良いものではありません。
今回は、この点に手間と時間を費やすよりも、手軽に傷みにくい材料で済ませてしまおうと「イレクターパイプ」を使うことにしました。イレクターパイプの利便性は下記記事のように体験済みです。
そして、3Dモデル完成図がこちらです。
使用した3次元CADの紹介はこちらです。紙に設計図をマンガで描くより、より現実的にイメージすることが出来て、設計時間の短縮が可能になります。使い方も簡単なので、下記の記事から練習してみてください。
こんな風に、設計図を印刷して長さを記入してチェックしたり、構成部品をリストアップして部品表を作っておくと、ホームセンターで過不足なく購入できます。
またネット通販でも取り扱われています。自宅に配送してくれるので楽ですね。
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ホームセンターで買い出しと下準備
先の構成部品をもって(実際にはスマホで写真撮って…)近くのホームセンターへ…購入したのがこちらです。
今回、パイプは自由な長さに切断する必要があるので2.5mのパイプを4本とイレクターパイプ専用のハンドカッターを購入しました。
あと、設計時にはアイボリー(白っぽい)で作ろうと考えていましたが、ホームセンターで悩んで黒に変えました。
ここからは、設計通りの長さにせっせと切断します。
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今回、続けて17本のパイプに切り分けましたが、半分くらいで腕がパンパンになりました。休み休みやった方が良いかもしれません。
今回の設計では使いませんでしたが、切断したパイプにインナーキャップを取り付ける場合は、切断してできた鋭いバリをやすりできれいに落としてから差し込み接着する必要があります。作業の際は、必ず軍手などで指先を保護して作業しましょう。
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仮組み立て
パイプの切断面に注意しながら、仮組みをしていきます。順番を間違えるとパイプが入らなくなるので、ちょっとしたパズルのような感覚です。
逆に言えば、仮組みせず本接着しながら組み立てると、失敗することがあるので注意しましょう。
接着して完成
仮組みして、切断したパイプの長さ間違いや、ジョイントの間違いが無いことを確認したら、接着して完成させます。
使用する接着剤は粘性が無くサラサラの液体なので、流し込む面が水平になるように置きなおしてから接着しましょう。また、接着剤は少し出しすぎたりするとあふれて流れ落ちるので、床に接着剤が落ちないように、ベニヤ板や段ボールを敷いて保護するようにしましょう。
下図のように、水平のジョイントには十分に接着剤が流せますが、水平でない箇所には、接着部分に溜まる前に、流れて落ちてしまいます。接着したいジョイントが水平になるように配置を変えながら、組み立て(接着)を進めましょう。
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完成!
完成したのがこちらです。
手前の2本の支柱は、メタルジョイントで緩めれば無段階で高さが調整できるので、地面の状態に合わせて、棚を水平に保つことが出来ます。(下写真左)
ブロック塀へは、別途L金具をホームセンターで購入し、インシュロックで縛りました。(下写真右)
また、中央に近い2本のプランターを支える柱は、左右に移動できるように接着せずに組み立てたため、プランターの買い替えにより、棚が使えなくなることがないように工夫しました。
注意点
今回、屋外でのイレクターパイプの使用ですが、気になるのは耐久性です。イレクターパイプにキズが無ければ樹脂で保護されているので、サビや腐食はありません。ジョイントも樹脂製のものを使えば腐食はありません。劣化はあるでしょうが数年で割れることはないので、製品自体は耐久性が高いものです。
しかし、パイプの内側は鉄製の薄肉素材が溶接でパイプ状に加工されたものなので、非常にさびやすい材料です。錆びる条件としては水分ですが、端部をジョイントでふさいでいる限り水分は侵入しないはずです。
接着組立て時の注意点としては、接着部に接着剤を十分流し込むようにすることです。水の侵入を防ぐイメージで、密閉させることが大切です。チョン付けではなく、隙間に十分流し込むように接着してください。
また、切断時のローレット目が残る場合があるので、室内使いで美観を重視したものを作りたい場合は、注意が必要です。下記のように専用のハンドカッターを使って、パイプを切断すると端面から1センチくらいのところにローレット目が残ります。
ジョイントやアウターキャップで隠れますが、薄いアウターキャップやインナーキャップを使うと隠れない場合があります。気になる場合は、あらかじめ定寸で切断されているパイプを購入するか、隠す工夫をする必要があります。
まとめ
イレクターパイプは使い勝手が良く、コストパフォーマンスにも優れているので、色々な場面で使える部材です。ただし、完成品の印象は少々工業色が見え隠れするものです。
完成品のかわいさをもとめると酷な気がしますが、使い勝手が良いだけに若干残念です。下記のようなコーナーを少し柔らかい印象にできる部品があればいいな~と思ったりもします。
ともあれ、イレクターパイプのカットから接着作業終了(完全接着までは半日放置したい)まで、おおよそ3時間くらいでしたので、木工よりもかなり時間短縮できたと思っています。
強度よし!耐久性よし!加工性よし!おすすめの部材ですね。
また、3D-CADを使って写実的に手戻りを少なく設計できて、完成レベルを上げられるのは3D設計の魅力です。一度覚えると強力な武器になるので、ぜひ習得してみてください。
DIY設計の用途なら、全てのコマンドを知る必要がないので短期間に習得できます。下記記事で解説していますので参考にしてみてください。
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