DIYで木工製作するときに欠かせないのが、木材の締結(ねじ止め)です。ホームセンターに行けば「木ねじ」コーナーがあって様々なねじが売られています。いまいちどれを使ったらいいのかわからないってことは無いでしょうか?
いろいろなねじの中でも、木工DIYで出番の多いのが、「コーススレッド」です。この記事は、コーススレッドのねじの種類と使い方について解説しています。
コーススレッドの特徴
ホームセンターで見かけるコーススレッドの表記に、「フレキ」とか「ラッパ」と書かれたり、なんとなくわかる「全ねじ」「半ねじ」など、また尖った先端が特殊な形状をしていたり…お店の棚 一面に並んだねじを見て、うんざりすることはありませんか?
かくいう私も、ほしいねじサイズは決まっているのに10分くらい眺めてしまうとこがあります。おまけにその時は買わなかったりします。一度悩んでしまうとダメですね。
木材に直接ねじ込むねじとして思い浮かぶのは、「木ねじ」です。もくねじグループの中に、コーススレッドがあり、皿木ねじ、スリムビスなど多くの種類があります。その中でもDIYの木工で構造体をしっかり締結するときに良く採用するのが、コーススレッドです。
もちろん、皿木ねじ等も使うことはありますが、コーススレッドは、対応できる木材の守備範囲が広くて、割れなどのトラブルが起こるリスクが低め、と言えるのでサイズが合えばコーススレッド一択と考えて大丈夫です。
簡単に比較したのがこちらの絵になります。釘と皿木ねじ、コーススレッドを比較しました。
コーススレッドは、(皿木ねじに比べて)深くて鋭いネジ山が粗く切られているので、1回転ごとにどんどん締めこむことができるため作業効率が良く、ねじの谷径が細いので、ねじ込むときの木材への膨張ストレスが若干少なくなります。つまり、木材が割れる可能性が小さくなります。
コーススレッドをインパクトドライバーで素早く締める光景をテレビのDIY作業でもよく見るので、作業性が良いのをイメージしてもらえると思います。その上、釘よりも締結力が強く、木材へのストレスが少なく割れにくいとなれば良く使われるのも理解できます。
ネジ締めの基本
コーススレッドの全ねじ、半ねじの用途を理解するために、ねじによる締結について基本をおさらいします。
解りやすいのがこの締結です。ボルト頭とナットの間に発生する圧縮する力と、間に挟まった部材の反発力が釣り合っていて、動かなくなっている状態が「ボルトとナットの締結」です。
ボルトとナットの締結は、ナットのミゾ部分とボルトのねじ山部分の接している面で緩まないように保持していますが、例えば木材が乾燥によって痩せると面圧が減り緩みやすくなります。定期的に増し締めをする方が安全です。もともと木材が弱くて、ボルトを締めれば木材が陥没するような場合、十分な面圧が得られないことがあり、ゆるみにつながる恐れがあるので注意が必要です。
壁や柱にフックを取り付ける場合など、買ってきた部品に木ねじが付属していることが良くあります。たいてい、買ってきた部品には、ねじが通るだけの穴が開いていて、そこに木ねじを差し込んで、ドライバーでねじ込むと取付できます。
この締結は、木ねじの頭が部品を押さえ、ねじ部分が木材の繊維に食い込んで、木材がせん断せずに(空回りしない状態)、部品を押さえる力と釣り合った状態で、動かなくなっている状態です。
コーススレッドも木ねじの一種ですが、皿木ねじと違うのは、コーススレッドの特徴で書いた通り、ねじ山が深く粗いため、木材がネジ山にせん断されにくいため、空回り(ねじボケ)しにくくなります。
コーススレッドの種類
コーススレッドに限らず、ねじには「半ねじ」と「全ねじ」がありますが、使い方を間違うと木材の固定が不確実になってしまいます。次はこの点を理解しましょう。
上の図で①のように、間違った使い方をすると「いくら締めてもうまくいかない」事になり、最後には木材が割れてしまう結果になるかもしれません。
テレビのDIY企画などでは下穴など使っていないで組み立てしている印象ですが、意識的に荷重(体重)を掛けて材料を密着させた状態で締め付けをしているので③を意識した作業をしています。←意識的に荷重をかけて…と書いていますが、経験的に無意識にされていると思いますが…。
全ねじのねじが使いにくい印象になるかもしれませんが、長期的にみると③の方法が信頼性が高い方法です。理由は、木材が乾燥など痩せてしまった場合、逃がし穴があるものはゆるみ、がたつきとして現れますが、③の方法は、二つの木材に対してネジ部が食い込んで、それぞれねじと木材が固着しているので、がたつきが発生しません。
増し締めができるところ、できないところ、大きな力が加わるところ、そうでないところ、適材適所で使い分けながら作業することになります。
コーススレッドには、フレキとかラッパとかの表記があるものがあります。いずれも頭の形状を示したものです。左が「フレキ」で右が「ラッパ」形状です。
それぞれのコーススレッドで、木材を締結した写真がこちら。
フレキ付きは、木材に逃がし穴があっても、木材を削って進む力の方が勝ることがあり、木材が密着しないことがあるので注意が必要です。ラッパ頭は、あらかじめ逃がし穴の口元に面取りを施しておくと、それほど見た目が悪くなることはありません。
私の好みは、木材通しをしっかり密着させたいので、口元面取りした逃がし穴を開けて、ラッパ頭で締め付ける…です。面倒ですけど。
逃がし穴と下穴のすすめ
木材を密着させて締結することは、組み上がった構造物の強度・剛性が上がります。「しっかり締めたのに、足がなんだかグラグラする…」のはしっかり密着せずに、木材が組み合わさって見えているだけかも知れません。しっかり、強固に締結するために、面倒でも逃がし穴を開けるか、しっかりバイスや万力で締めこんだ状態で締結しましょう。
また、特に材料の切断面に近い場所での締結は、割れの事故が起こりやすい箇所です。また、薄い木材の小口に締結するときなど、木肌からねじの先端が飛び出したことは無いでしょうか?これも、ひと手間で面倒ですが、下穴を開けるようにしましょう。
下穴のサイズは、呼び径の1/2程度で十分効果があります。あまり大きいと、ねじが効かなくなりますので注意してください。
下穴の径は、木材の堅さにも左右されますので一概に言えません。
ねじの呼び径が4.2とか4.5のビスを使ってSPF材を締結する場合、2mm程度のドリルで、ねじ深さの5~7割の下穴を開けることが多いです。
SPF材は柔らかい材料なので、大きすぎない下穴を開け、木材の繊維を寸断して、ねじの通り道を作ることをイメージしています。
こちらの記事でも、下加工とねじ止めの仕上がりの様子について比較した結果を紹介していますので参考にしてみてください。記事の中ほどです。
様々な先端形状
ここまで解説した、フレキや半ねじとか、これ以外にホームセンターでは様々なコーススレッドビスが売られています。おもに、先端の形状に特徴があるものが多く売られています。木材の割れを防止するために、下穴を開けることを書きましたが、ドリルやキリでの作業は手間がかかり面倒です。
そういった点を改良しようとしたねじが、たくさん種類があり、
- ネジを下穴無しでねじ込むときに、先端で木材の繊維を断ち切って進むように、先端に切込みを入れて、ドリル状に加工しているもの
- 木材の割れを軽減するために、らせん状の切込みを入れながら締まるもの
- 堅い木材をやすり状の先端で削りながら締まるもの
など、これらは作業性を向上させるために、メーカーが工夫しているものです。ビスのパッケージに、「貫通力」とか「割れにくい」とか特徴が書いてありますので、中のねじの先端に注目してみてみると面白いです。
このような機能性ねじを使うことはDIYでも有効で、価値は十分ありますが価格も高めになっています。ひと手間で進めるか機能性ねじに助けてもらうか、悩みどころですね。
結局、このあたりが悩みどころでホームセンターでネジを眺めてしまう事が多いのは確かです。(解決してませんね。すみません。)
まとめ
DIYの組み立てでよく登場する、コーススレッド、ホームセンターでネジを探すうえで基本になる考え方を記事にしてみました。
ねじはDIYの出来栄えにも大きく影響します、規則正しくきれいに締め付けられていると好印象ですが、ねじ頭が飛び出したり位置もばらばらだと、なんとなく信頼できない作りだと思われてしまいます。
下の記事は、約300本のコーススレッドと六角ボルトを使って組み上げたロフトベッドの記事です。ぜひご覧ください。
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